1日働けば1ヶ月の勉強と同等の成果
最初に勤めた就職先が結婚式場のフォトグラファーでした。今思えば自分の人生に大きな影響を与えてくれました。約1年ほど勤めましたが、写真学校で3年間勉強した人よりも撮影が上手になったと自負しています。
さて、「フォトグラファー」に憧れている人って多いと思うんですよ。人の幸せに参加できる仕事ですし、何よりも格好良いですよね。
そんな皆さまに私からメリット・デメリットをお話しておこうと思います。
もちろん、私が勤めた会社での話なので待遇が良い企業もあるかと思います。一つの意見として参考にして下さい。
フォトグラファー業務のメリット
まずは良い点から。私の場合は結婚式場のスナップ写真フォトグラファーでしたので、写真館でのスタジオ撮影とは別物と考えて下さい。(スタジオの方も経験しましたが、式場メインの仕事でした。)
プロの講習、機材が使える
カメラでご飯を食べていくわけですから、会社も必死になって教えてくれます。社内のベテランの人が若手に講習会を開いてくれますし、一流の機材を使うことができます。
このようにボディだけで桁外れの価格です。とても個人では買えませんよね。レンズももちろん一級品。1つ20万円前後のものを使いました。
直ぐに実践できる
基本的に体験して学ぶことになります。スタジオカメラマンなら先輩のアシスタント。私のような式場カメラマンならサブカメラマンとして直ぐに撮影を開始します。
私が現場に出たのは入社して1ヶ月以内でした。はっきりいって専門学校で1年間学ぶよりも1ヶ月入社した方が勉強になります。どのシーンで何を撮影すれば良いのか、どの写真が使いやすいのか分かるからです。
ソフトも一緒に学べる
カメラマンとフォトグラファーって何が違うと思います?前者は撮影メインですが、後者は撮影後の加工まで行います。現在はフォトグラファーのみが生き残れる世界です。
写真の加工は基本的にフォトショップを使います。これも高価なソフトですし、一般の人ならエレメンツで十分ですよね。
プロならではの加工方法も学ぶことができます。(目の付け替え、背景汚れの消去、色かぶりの直しなど)
人の喜ぶ顔
そして、何よりも大きなメリットが人の幸せのお手伝いをできることです。新郎新婦の気持ちが自分にまで伝わってくると、この仕事をして良かった!と心から感じることができます。
やりがいだけで言えば、全ての仕事の中でも上位ランクに入ってくると思います。
華やかな反面・・・
さて、このように楽しそうな仕事なのにどうして私は辞めたのか。その理由は以下の通りです。
カメラだけではない
フォトグラファーと言ってもサービス業。撮影現場だけが仕事ではありません。私が実際に携わった業務は以下の通りです。
・始業前に植物の水やり
・スタジオの受付、電話応対
・披露宴会場の設置
・アルバムの作成
また、写真に関しても撮影のみではありません。使用可能な写真の抜粋、L版へのサイズ変更、発注業務など1人に与えられる作業は想像を絶します。水やり1つでも1時間~2時間はかかりますからね、、。
プライベートはほぼゼロ
これは写真館によりけりでしょうが、私の場所は年間休日が100日を切っていました。隔週で2連休があるのみ。GWは無く、お盆・正月は4連休程度です。
土日は結婚式が多いため朝6時半には出社。夜0時までアルバム作成作業をしていました。もちろん残業代はありません。
一瞬の重圧
例えば誓いのキスのシーン。絶対に撮影しないといけませんよね。ぶれたりしたら大失態です。フォトグラファーはとにかく利益が高い職業ですが、揉め事も多い職種です。
私も一瞬で神経をいためました。
こんな人は止めておいた方が良い
・真面目な人
・優しい人
・律儀な人
・人に気を使う人
普通の職場では喜ばれそうなタイプですが、写真館ではNGです。真面目であればあるほど仕事を抱え込み、昼ごはんも食べる暇が無くなります。
給料は低い
4大卒でも基本給は18万前後。残業代が無ければかなり厳しい生活になるでしょう。役職も通常の職場とは違います。店長の上は一気に上の役職になりますから、ほとんどの人が途中で自分のお店を構えるようになります。
技術的・内面的に恐ろしいほど成長できる
色々と書きましたが、自分にダメージが大きい分、自己を見つめなおせます。私はたった1年で今でもプロレベルのスナップ写真が撮影・加工できます。内面的にも社会人としての責任感を厳しく学ぶことができました。
フォトグラファーを目指す人は必ず福利厚生がしっかりした職場を選んでください。最後に気をつけるべき点をまとめておきます。
・基本給に時間外手当含むと書かれていたら月に200時間前後の残業を覚悟すること
・社員の年齢層を確認する(若手ばかりなら要注意)
・社員の男女の比率(男性が多いほうが長く勤める人が多い可能性が高いので安心)
・勉強会など、仕事時間外の拘束時間の確認
私は全身に蕁麻疹が出て倒れたので退職しました。フォトグラファー時代は友人関係も台無しにし、当時の彼女にも負担をかけたので婚約破棄の一因となった気がします。
人生は楽しい方が良いと思います。華やかな職場には裏がありますから、余程の覚悟・憧れが無い限り手を出すものでは無いと感じました。