影に隠れた豪傑たち
歴史小説が大好きです。特に司馬遼太郎は大学時代からのめり込み、販売されている文庫本のほとんどを持っています。主人公を前面に押し出した描写と、歴史の背景にある考え方。そして偉人を身近な人に見せるような人間描写が好きで、他の小説とは比べ物にならないくらい好きです。
先日、友人と「司馬遼太郎が生きていたら誰を書いて欲しかったか」という話題になりました。司馬さんが好きな人は1度は考えてしまうことですよね。私の考えになりますが、せっかくなのでご紹介したいと思います。
佐々成政
(富山市郷土博物館蔵)
豊臣秀吉との対立で描写されることが多い戦国武将です。織田信長の譜代としても有名ですね。秀吉(当時は木下藤吉郎)の発言に突っかかることが多く、後々も家康と組み秀吉を倒そうとしたことで名前が挙がっています。
後に肥後一国を与えられましたが、治めることが出来ずに切腹となります。
数々の武功もありますが、真冬のアルプス越えが一番のエピソードかと思います。当時の装備でどのようにやったのか気になりますね。
立見尚文
wikiより
日露戦争で黒溝台会戦で活躍したことから名前が知られています。それ以外にも幕末での長岡藩との共同作戦、西南戦争での最後の突撃など数々のエピソードがあります。東北では軍神と呼ばれており、日本でもっとも活躍した将軍とも称されます。
これだけ著名な人なのに本が少ないんですよ。司馬さんの「坂の上の雲」「峠」では一部ながら登場します。
唯一、主人公として描かれている小説です。ソフトな人物描写なので物足りなさもありますが・・・戦争以外の点も書かれていたのが新鮮でした。
鍋島直茂
(鍋島報效会所蔵)
戦国時代の武将。龍造寺家の家老として有名です。しかし、政治的手腕が尋常ではなく中央と早くから接触。秀吉と交流をし、九州征伐で功を挙げたため独立が認められます。
鍋島家は関が原でも面白い行動を取っていますし、幕末でも活躍した家です(薩長土肥)。その藩祖がどのような人物かあの魅力溢れるタッチで書いて欲しかった。
どうしても中央寄り
小説も人気が必要なため、名前が知られている人を題材にしたものが多いです。その中では司馬さんは異質な気がします。坂本竜馬も元々は二流の人物と言われていましたし、「峠」の河井継之助はほぼ無名の人物でした。歴史に埋もれた人にこそ面白い話がたくさんあると思うんです。
「秀吉」「家康」と聞くと何となく人物像が想像できちゃいますもんね。そうではなく、無名に近い人を掘り出して有名にしてしまう力が司馬さんの魅力だと思います。
歴史小説に興味が無い人にも凄くおすすめです。「坂の上の雲」は現代社会の生き方に通じるものがありますので、是非ともお読み下さい。